ここみえ
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●持続性抑うつ症:persistent depressive disorder ●気分変調症:dysthymia ●選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI):selective serotonin reuptake inhibitors ●セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI):serotonin noradrenaline reuptake inhibitor ●ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA):noradrenergic and specific serotonergic antidepressant ●セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節薬(S-RIM):serotonin reuptake inhibitor and serotonin modulator●DSM-5では,❶~❾の症状のうち5つ以上(❶か❷のいずれかを含む)が,同じ2週間の間に,ほぼ毎日存在(❾は毎日でなくてもよい)する場合を抑うつエピソード〔p.118〕とし,うつ病の診断に用いる.●薬物などの物質によるものや他の身体疾患によるもの〔p.123,325〕は除外する.●過去に躁エピソード〔p.140〕がある場合には双極症〔p.140〕と診断する.また,経過中発症率2倍<>2倍以上●罹患リスクは女性の方が高いが,自殺リス●発症リスクは思春期以降に急速に増大し,20代の頻度が最も高い.日本では中高年以降の頻度も高い.114持続性抑うつ症 〔p.110〕2年以上の間,抑うつ気分が継続している状態である.抑うつ症状の重症度は,抑うつエピソードの基準を満たしても満たさなくてもよい.抑うつエピソードに満たない抑うつ気分が持続するものは気分変調症ともよばれる.再燃と再発一度軽快・消失した症状が再び悪化・出現することを表す用語には再燃と再発がある.再燃は,症状が軽快傾向ではあるが消失はしていない段階で再び悪化,あるいは消失した後,早期に再出現することを指す.再発は,症状が完全に消失した状態が一定期間以上持続した後に再出現することを指す.ただし,明確に使い分けられていない場合も多く,本書では特に必要な場合を除き,再燃も含めて再発と表記した.➡うつ病を考える.治療●休息と心理教育を基本に,抗うつ薬の投与や精神療法を行う.● 抗うつ薬は新規抗うつ薬(SSRI,SNRI,NaSSA,S-RIM)が第一選択で 長期間(半年〜1年)の投与が必要である.気分の落ち込み(抑うつ気分)と興味や喜びの喪失を基本に様々な症状を示し,その程度が著しく,持続期間も長いために,苦痛を伴い,日常生活・社会生活に支障をきたす疾患である.日本での生涯有病率〔p.18〕は約6%であり,頻度の高い疾患で,自殺リスクが高いことに注意が必要である.遺伝因子(元々の体質)と環境因子(ストレスになるような出来事など)が相互に関与して発症する.に躁エピソードを生じた場合には,双極症に診断を変更する〔p.118〕.性別による特徴罹患リスク自殺リスク〈無価値感,罪責感〉12ヵ月有病率20代が最大major depressive disorder 女性に多いが,自殺リスクは男性が高い 疫学●うつ病は最も頻度が高い精神疾患の1つであり,時代とともに発症頻度は増加している.●症状の中に自殺念慮が含まれているように,自殺リスクが高い.クは男性の方が高い.約6%10歳20歳30歳40歳50歳2〜3%思春期以降,急速に増大中高年者でも発症する監修松﨑 朝樹年齢生涯有病率頻度の高い精神疾患年齢と発症率男性女性intro.MINIMUM ESSENCE❶気分が落ち込み,悲しい気持ちになる. 〈抑うつ気分〉❷何をしても楽しくない,以前は楽しかったものも楽しく感じない. 〈興味・喜びの喪失〉❸食べ物がおいしいと感じられず,体重も減ってきた. 〈食欲減退,体重減少〉❹寝つきが悪い,途中で起きたり,早朝に目が覚めたりしてしまう. 〈睡眠障害(不眠)〉❺そわそわして落ち着きがなかったり,ぼーっと立ち尽くしたりする. 〈精神運動焦燥,制止〉❻疲れやすく,何をするのも億おっくう劫,やる気が出ない. 〈気力減退,易疲労性〉❼自分は役立たずで,皆に迷惑をかけて申し訳ないと思う. ❽考えが進まず,ものごとを決められない. 〈思考力・集中力の減退,決断困難〉❾生きていても仕方がない,つらくて死んでしまいたいと考える. 〈自殺念慮・自殺企図〉概要うつ病

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