薬みえ3-2
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➡●感性(S):susceptible ●耐性(R):resistant ●最小発育阻止濃度(MIC):minimum inhibitory concentration ●ペニシリン中等度耐性肺炎球菌(PISP):penicillin-intermediate resistant■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■●ペニシリン感性肺炎球菌(PSSP):penicillin-susceptible ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■●米国臨床検査標準協議会(CLSI):Clinical and Laboratory Standards Institute ●薬物動態学(PK):pharmacokinetics ●薬力学(PD):pharmacodynamics●日本ではCLSI(米国臨床検査標準協議会)のブレイクポイントが広く用いられている.PK/PD理論〔p.132〕を用いてブレイクポイントは毎年改定が行われている(図は2016年でのブレイクポイント).CLSIのブレイクポイントはアメリカの投与方法(量,間隔)を反映しているため,日本の投与方法では不適切となる場合があることに注意が必要である.(2008年〜)●多くのグラム陰性菌〔p.122〕●ペニシリナーゼ産生黄色ブドウ球菌●多くのグラム陰性桿菌●嫌気性菌●メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)●ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症と薬細胞壁合成阻害薬●特殊な細菌〔p.128〕Pharmacology vol.3 : An Illustrated Reference Guide+αもっとわかる1430.06 0.12 0.25 0.5 1 2 4 8 ペニシリン系抗菌薬の理解に不可欠 ベンジルペニシリンの弱点と抗菌薬の開発●ベンジルペニシリンは次のような弱点をもつ.これらの弱点を克服するため,様々な抗菌薬が開発された.Advanced Study ベンジルペニシリンと肺炎球菌感染症●ある細菌がある抗菌薬に対して感性(S)なのか耐性(R)なのかを分けるためのMICの境界値をブレイクポイントといい,臨床的に有効か無効かを判断する際の基準となる〔p.132〕.●2007年までの基準(ブレイクポイント)では,肺炎球菌のほとんどがペニシリン中等度耐性肺炎球菌(PISP)またはペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)に分類されていたため,ベンジルペニシリンが使用不可となることが多かった.●しかし,2008年にブレイクポイントの見直しが行われ,髄膜炎以外の肺炎球菌感染症のブレイクポイントが変更された.ベンジルペニシリンの弱点酸に不安定(吸収が悪い)外膜(ポーリン)を通過できないペニシリナーゼなどのβ-ラクタマーゼに不安定親和性の低いPBPがある細胞内移行性が悪い細胞壁をもたない細菌には無効■:ペニシリン感性肺炎球菌(PSSP)■:ペニシリン中等度耐性肺炎球菌(PISP)■:ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP):ベンジルペニシリンで治療可能なもの(PSSP,PISP)ブレイクポイント(MIC)〔μg/mL〕 変更前(〜2007年)肺炎球菌感染症髄膜炎以外の肺炎球菌感染症(肺炎など)肺炎球菌性髄膜炎変更後※肺炎球菌性髄膜炎に対するPISPの基準はない.図で示した通り,現在の基準では多くの肺炎球菌性髄膜炎にベンジルペニシリンが使えないため,第三世代セファロスポリン系薬やバンコマイシンを用います〔p.236〕.これは,ベンジルペニシリンの髄液移行性があまりよくなく,髄液中の濃度を上げることが難しいためです.16 …ベンジルペニシリンの弱点を理解することは,その他のペニシリン系薬のスペクトルの理解につながります.ベンジルペニシリンが無効な菌アミノペニシリン〔p.145〕ピペラシリン〔p.146〕ペニシリナーゼ抵抗性ペニシリン〔p.144〕β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤〔p.148〕バンコマイシン〔p.167〕など(β-ラクタム系薬とは別経路で細胞壁合成を阻害)タンパク質合成阻害薬〔p.171〕核酸合成阻害薬〔p.183〕薬剤師開発された抗菌薬これまでベンジルペニシリンでは治療不可と考えられていた肺炎球菌性肺炎〔p.142〕などは,ほとんどの場合ベンジルペニシリン(高用量)で治療可能と判断されるようになった.医師

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