●潰瘍底には壊死・滲出物や肉芽組織,潰瘍周囲には著明な炎症細胞浸潤,浮腫がみられる.●潰瘍の内視鏡的所見は類円形の境界明瞭な深い陥凹であり,陥凹には白苔が認められる.●胃がんの中にも,胃粘膜の陥凹(潰瘍)を認めるものがあり,鑑別が必要である.消化器系の疾患と薬消化性潰瘍●悪心・嘔吐●食欲不振●心窩部痛●腹部膨満感●急激な上部腹痛●腹膜刺激症状●出血性ショックは,急激に大量出血をきたした場合にみられる.貧血は,高齢者で自覚症状の乏しい慢性的な出血の場合にみられる.●胸やけ,悪心・嘔吐●食後に多い.●食事摂取で改善しない.●胸やけ,悪心・嘔吐,膨満感●幽門部狭窄による通過障害をきたしやすい.●球部前壁に多い.●穿通すると急性膵炎を続発することがある.●胃角部小弯側に多い.●高齢者では噴門部に近い高位部に多い.Pharmacology vol.3 : An Illustrated Reference Guidewords & termsスルピリド 〔p.36〕アセチルコリンの遊離促進により胃腸運動を促進し,潰瘍面と攻撃因子の接触時間を短縮することで,潰瘍治癒を促進させる薬物.攻撃因子抑制薬,防御因子増強薬のどちらにも分類されない〔薬①p.242〕.商品名【ベンズアミド系抗精神病薬】●スルピリド:ドグマチール(錠,カ,細,注)+αもっとわかる35 UI-Ⅰ びらん UI-Ⅱ UI-Ⅲ 潰瘍UI-Ⅳ 粘膜筋板を越えた組織欠損 潰瘍とは●正常の消化管では,様々な防御機構により胃酸や消化酵素から粘膜が守られているが,何らかの影響でこの機構が破綻し,粘膜筋板を越えた組織欠損を起こした状態を潰瘍という.一方,組織欠損が粘膜層にとどまるものをびらんという. 出血・穿孔・狭窄が三大合併症 症状と合併症●消化性潰瘍の主な症状には,心窩部痛,腹部膨満感,悪心・嘔吐などがある.●十二指腸球部後壁に潰瘍が生じた場合などに,背部痛が起こることがある.●合併症には,出血,消化管穿孔,幽門部狭窄などがある.出血をきたせば,吐血,下血などを呈することもある. 臨床像が異なる 胃潰瘍と十二指腸潰瘍の比較●胃潰瘍と十二指腸潰瘍の臨床像には次のような違いがある.好発年齢男女比心窩部痛症状胃酸分泌粘膜萎縮その他出血穿孔その他合併症好発部位症状胃潰瘍高齢者1:1+〜++吐血が主体少ない胃角部小弯側合併症最多出血●ショック●貧血●吐血(コーヒー残渣様)●下血(タール便)消化管穿孔幽門部狭窄十二指腸潰瘍中年以降2:1●空腹時,夜間に多い.●食事摂取により改善する.⬇⬆−〜+下血が主体多い球部前壁潰瘍とびらんの違い(村上の分類)粘膜粘膜筋板粘膜下層筋層漿膜
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