病みえ12-1版_1刷_立ち読み
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●流行性角結膜炎(EKC):epidemic keratoconjunctivitis ●アデノウイルス:adenovirus ●眼脂:discharge ●結膜濾胞:conjunctival follicle ●眼瞼浮腫:palpebral edema ●多発性角膜上皮下浸潤(MSI):multiple subepithelial corneal infi ltrates ●混合感染:mixed infection ●クラミジア結膜炎:chlamydial conjunctivitis ●偽膜性結膜炎:pseudomembranous conjunctivitis●潜伏期前後での感染者との接触の有無を確認することも,診断の助けとなる.●通常両眼性であるが,病初期などに片眼性である場合がある.●確定診断は,結膜擦過物を用いた抗原検出(アデノチェック®などによる迅速診断)や,PCR法によるウイルスの遺伝子検出,中和法などによるウイルスの分離などが行われる.●結膜に濾胞を形成するクラミジア結膜炎との鑑別が困難であることや,合併例があることから,抗菌薬は■■■■■■■■■属菌に有効なマクロライド系薬あるいはニューキノロン系薬が用いられる.●多発性角膜上皮下浸潤がみられるときは,ステロイドの点眼も併用する.●EKCは学校感染症の第3種である.学校医,その他の医師から感染のおそれがない●結膜炎発症後,7〜10日ほどで,多発性角膜上皮下浸潤の合併がみられることがある.角膜混濁が●乳幼児では,上記症状の他,偽膜性結膜炎がみられる.また,発熱や下痢などの全身症状を伴う場●細隙灯顕微鏡で,眼瞼結膜に小点状●眼球・眼瞼結膜充血,腫脹,濾胞〔p.67〕がみられる.●濾胞の形成がみられる結膜炎を,急性濾胞性結膜炎ともいう.70アデノウイルス迅速検査 〔p.70〕結膜擦過物を用いてアデノウイルス抗原を測定する検査.簡易測定キットが発売されており,短時間で簡単に判定できるため,外来での早期診断に役立つ.ただし,感度が80%と十分には高くないことに注意する.多発性角膜上皮下浸潤 〔p.70〕アデノウイルスに対する免疫反応により,角膜内へ細胞浸潤が生じた結果みられる,角膜上皮下の小円形の混濁.点状表層角膜炎あるいは点状角膜上皮下混濁ともいわれる.偽膜性結膜炎 〔p.70〕炎症による滲出物が白色の膜(偽膜)となり,眼瞼結膜に付着する結膜炎.偽膜は乳幼児のEKCでみられる他,成人のEKCでも炎症が強い場合に生じることがある.An Illustrated Reference GuideB30.0写真提供:岡野 敬第102回医師国家試験 A38➡流行性角結膜炎(EKC)を考える.治療アデノウイルスに対する抗ウイルス薬はなく,細菌の混合感染防止のために抗菌薬点眼を行う(2〜3週間程度で治癒する).アデノウイルス(主に8,19,37,53,54,56型)によるウイルス性結膜疾患.「はやり目」とよばれ,非常に感染性が強いので予防が重要である〔p.69〕.重度の結膜炎症状と耳前リンパ節腫脹がみられる.夏に流行がみられる.と認められるまで,出席停止となる.結膜所見〈結膜炎症状〉〈三徴〉 濾胞形成,多発性角膜上皮下浸潤,耳前リンパ節腫脹 症状・所見●流行性角結膜炎は,アデノウイルス8,19,37,53,54,56型により生じる.進行した場合,霧視や視力低下が生じることがある.合がある.偽膜濾胞眼瞼結膜充血・腫脹眼球結膜充血出血が確認できることがある.異物感漿液性眼脂流涙耳前リンパ節腫脹監修横倉 俊二intro.MINIMUM ESSENCE❶潜伏期7〜14日の後に発症.❷両眼の漿液性眼脂,流涙,羞明,異物感を訴え,❸結膜充血,眼瞼結膜濾胞,眼瞼浮腫がみられる. ❹耳前リンパ節の腫脹と圧痛をきたす.❺結膜炎発症後,7〜10日で多発性角膜上皮下浸潤を認める. EKC:epidemic keratoconjunctivitis流行性角結膜炎(EKC)
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