●肝芽腫:hepatoblastoma ●肝芽細胞:hepatoblast ●α-フェトプロテイン(AFP):α-fetoprotein ●低出生体重児:low birth weight infant ●乳酸脱水素酵素(LD):lactate dehydrogenase ●シスプラチン(CDDP):cisplatin(cis-diammine-dichloroplatinum) ●ドキソルビシン(DXR):doxorubicin ●肝動脈塞栓療法(TAE):transcatheter arterial embolization ●肝移植:liver transplantation ●Gd-EOB-DTPA:gadolinium ethoxybenzyl diethylene-triaminepentaacetic acid ●家族性大腸腺腫症(FAP):familial adenomatous polyposisAn Illustrated Reference Guide ❹腹部超音波・CTで,肝臓内に塊状で単発性の腫瘤性病変がみられる.●本症では画像所見をもとに術前病期分類を行い,病期に応じた治療を行う.●病理所見は診断の確定および一部の病型の治療方針決定に用いられる.●基本的には無症候性で,右上腹部に触れる表面不整・単発性の腫瘤で発見されることが多く,進行すると体重減少,嘔吐,腹痛などがみられる.●肝機能障害は少なく,黄疸,腹水は末期に出現する.●本症において,腹部超音波検査は良性の血管性病変との鑑別に,腹部CT・MRIは肝内病変の進展度の評価に有用である.また,血行性の肺転移が多いため,胸部CTもあわせて行う.●造影CT,造影MRIでは境界明瞭で内部不均一な低吸収域として描出される.●造影MRIではGd-EOB-DTPA〔p.220W〕を用いるのが主流となっている.p8病理所見●緊急治療が必要な場合を除き,生検を行うことが推奨されている.特に6ヵ月未満と4歳以上の患児では肝芽腫以外の疾患の可能性が高くなるため,病理所見が重要となる.●主に胎生期の肝細胞に似た上皮性細胞で構成され,非上皮性組織が混在する.上皮成分の分化の程度により,胎児型(高分化型),胎芽型(低分化型),未分化型などの組織型に分類される.●男児220Gd・EOB-DTPA(EOB・プリモビスト®)〔p.220〕正常肝細胞に取りこまれる造影剤.腫瘍と正常部のコントラストを明瞭にするため,腫瘍の検索に有用である.主な小児の肝悪性腫瘍には肝芽腫(最多)と肝細胞癌がある.3歳頃までに発症するものはほとんどが肝芽腫,10歳以上の年長児には肝細胞癌が多い.C 22.2第89回医師国家試験 E21➡肝芽腫を考える.治療⒈切除可能例:術前化学療法(シスプラチンやドキソルビシンなど)肝芽細胞(発生過程で肝臓の原基となる細胞)が腫瘍化したものであり,小児悪性腫瘍の1〜2%を占める.日本では年間30〜40人が診断され,約90%の症例でAFPが陽性である.+根治的切除術〈65%程度が2歳未満〉AFP⬆⬆⬆intro.MINIMUM ESSENCE❶好発:3歳頃まで,低出生体重児,男児 ❷右上腹部に表面不整・単発性の腫瘤がみられる. 〈全身状態は良好なことが多い〉❸血液検査で,AFP↑↑↑(数万ng/mLに達する)がみられ, 〈盛んな腫瘍増殖能を反映〉コレステロール↑,LD↑を伴う.⒉切除不能例:肝動脈塞栓術(TAE),肝移植hepatoblastoma 肝芽細胞から発生 症状・所見●本症は肝芽細胞が腫瘍化したものである.低出生体重 内部不均一な腫瘤 画像・病理所見画像所見児に好発し,やや男児に多い.●また,Bベックウィズ大腸腺腫症(FAP)〔病①p.222〕に合併することが多い.iedemann症候群〔p.161W〕,家族性eckwith-Wヴィーデマン好発●低出生体重児表面不整な腹部腫瘤(基本的に無症候性)肝左葉の内部不均一な巨大腫瘤監修菱木 知郎小児の肝悪性腫瘍胎生4〜5週頃悪性化・増大肝芽腹部造影CT腹部造影CT肝芽腫
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