病みえ15
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●肺高血圧〔症〕(PH):pulmonary hypertension ●肺動脈性肺高血圧症(PAH):pulmonary arterial hypertension ●肺動脈圧(PAP):pulmonary artery pressure ●肺動脈楔入圧(PAWP):pulmonary artery wedge pressure ●プロスタサイクリン/プロスタグランジンI2(PGI2):prostacyclin/prostaglandin I2●エンドセリン受容体拮抗薬(ERA):endothelin receptor antagonist ●ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬:phosphodiesterase 5 inhibitorAn Illustrated Reference Guide❻右心カテーテル法で,●右室や右房の拡大,心室中隔の圧排がみられる.●心エコーでは,連続波ドプラ法を用いて肺動脈圧を評価し〔病④p.263〕,298遺伝性肺動脈性肺高血圧症(HPAH) 〔p.299〕PAHのうち,既知の遺伝子変異や家族歴があるものをいう.■■■■■や■■■■■■,■■■などの遺伝子変異が知られている.病態生理はIPAHと同様である.肺静脈閉塞症(PVOD),肺毛細血管腫症(PCH)〔p.299〕肺静脈や肺胞壁を通過する毛細血管の閉塞または狭小化により,肺高血圧症を呈する疾患で,指定難病である.病理所見としてPVODでは肺静脈における内膜の線維化,PCHでは毛細血管の構成細胞の増殖がみられるが,類似する所見も多く,同一疾患の異なる表現型とする考え方もある.PAHと同様の血行動態を呈するが,胸部HRCTで小葉中心性すりガラス様陰影,小葉間隔壁肥厚,縦隔リンパ節腫脹などを示すことや,動脈血酸素分圧(PaO2)が低値になるなどの特徴がある.治療は肺移植のみが有効で,未治療ではほとんどの症例が2年以内に死に至る.Ⅰ27.0➡肺高血圧症(PH)を考える.PAPの上昇(平均圧>20mmHg), 肺動脈楔せつにゅうあつ 入圧(PAWP)は正常(≦15mmHg). ➡特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)と診断する.治療⒈肺血管拡張薬肺高血圧症(PH)のうち,肺細小動脈内腔の狭窄により肺動脈圧が上昇するものを肺動脈性肺高血圧症(PAH)といい,PAHのうち特発性(原因不明)のものをIPAHという.以前は極めて予後不良であったが,肺血管拡張薬の初期併用療法などにより長期生存例が増えている.肺高血圧症の存在を推定することが重要である.収縮期右室の著明な拡大rahamSスティール肺動脈圧(PAP)(推定値)の上昇がみられる.①ホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィルなど)②可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬(リオシグアト)〈右心負荷〉〈左心系は正常〉〈除外診断,原因疾患の鑑別〉IPAHintro.MINIMUM ESSENCE❶労作時呼吸困難,易疲労感,浮腫,胸痛,チアノーゼ,失神などがみられる.❷聴診で,ⅡP音亢進,Gグラハムteell雑音などが聴かれる.❸心電図で,右軸偏位,右室負荷所見,肺性P波がみられる.❹胸部X線・CT像で,肺動脈主幹部の拡大(左第2弓の突出),右心系の拡大,❺心エコーで,右室・右房の拡大,心室中隔の圧排,駆出加速時間の短縮,❼造影CT像などで原因疾患が確定できない. a.プロスタサイクリン(PGI2)とその誘導体b.エンドセリン受容体拮抗薬(ボセンタンなど)c. NO系製剤⒉抗凝固薬(ワルファリン:プロスタサイクリン持続静注時は併用しない)⒊必要に応じて,在宅酸素療法,右心不全に対する治療(利尿薬,強心薬など).⒋内科的治療に抵抗性の場合,肺移植を考慮IPAH:idiopathic pulmonary arterial hypertension拡大した右室による心室中隔の圧排乳頭筋正常右室右室左室左室監修早渕 康信 右心系の拡大,左室の扁平化 心エコー図断層心エコー法(乳頭筋レベル)特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)

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