●もやもや病:moyamoya disease ●ウィリス動脈輪閉塞症:spontaneous occlusion of the circle of Willis ●ウィリス動脈輪:〔arterial〕 circle of Willis ●側副血行路:collateral channel ●もやもや血管:moyamoya vessel ●浅側頭動脈-中大脳動脈(STA-MCA)吻合術:superfi cial temporal artery-middle cerebral artery anastomosis ●脳筋血管癒合術(EMS):encephalo-myo-synangiosis ●脳硬膜動脈血管癒合術(EDAS):encephalo-duro-arterio-synangiosisO2O2O2●小児では脳虚血での発症がほとんどだが,成人では脳虚血と脳内出血が半々である.●本症は特発性であり,類似の脳血管病変がみられるが自己免疫疾患,髄膜炎,神経線維腫症1型,Dダウンown症候群など基礎疾患に伴うものは類もやもや病として鑑別する.●もやもや病は,両側の内頸動脈(ICA)終末部が狭窄・閉塞神経疾患脳動静脈奇形(AVM)/もやもや病 糖病態糖❶ICAの終末部(➡)が徐々に狭窄・閉塞してくる(Willis動脈輪前半部の閉塞).❸脳虚血を代償するため,基底核部への穿通枝(主にレンズ核線条体動脈)が発達し,側副血行路が形成される(もやもや血管).糖脳虚血❶内頸動脈(ICA)と椎骨・脳底動脈(VA,BA)が前・後交通動脈(Acom,Pcom)によって連絡し,Willis動脈輪〔p.627〕を形成している.❹脳血流は一時的に回復するが完全ではなく,脳虚血に陥りやすくなる.また,もやもや血管は脆弱であるため,脳内出血が起こりやすくなる.❷前・中大脳動脈(ACA,MCA)に支配される脳実質の血流が低下し,脳細胞に酸素・糖が供給されなくなる(脳虚血).❷脳血流は正常であり,脳細胞に十分な629An Illustrated Reference Guide無症候性もやもや病脳血管撮影上,もやもや病の診断基準を満たすが,症状がないもの.人口10万人当たり約50人にみられる.手術適応はないが,脳血管障害の危険因子となる.Ⅰ67.5狭窄・閉塞と,周囲の異常血管網(もやもや血管)がみられる.➡もやもや病を考える.治療閉塞部の根治療法はなく,対症療法のみ.⒈外科的治療:直接血行再建術(STA-MCA吻合術),間接血行再建術(EMS,EDAS)頭蓋内内頸動脈からWウィリスillis動脈輪にかけての血管が狭窄・閉塞し,側副血行路として脳底部に異常血管(もやもや血管)がみられる原因不明の疾患.小児では主に脳虚血を呈する.日本を含む東アジア諸国に多く,約15〜20%に家族歴がみられる.●❷脳細胞●❶ICAおよび上記を組み合わせた複合血行再建術〈脳虚血〉intro.MINIMUM ESSENCE❶好発:10歳以下の小児,30〜40歳代の成人 〈二峰性,男:女=1:2〉❷小児では,熱いものを吹き冷ます,管楽器を吹く,激しく泣くなどの後, 〈過呼吸〉一過性の意識障害,片麻痺,言語障害,感覚障害,けいれんなどがみられる.❸頭部単純MRI T1,T2強調像にて,両側基底核に点状,線状の無信号域(fl ow void)がみられる.❹MRA,脳血管造影にて,両側の内頸動脈終末部,前・中大脳動脈近位部の⒉内科的治療:抗血小板薬,抗てんかん薬など(ただし,エビデンスはない)ACAAcomMCAICAPCABAVAACAMCAPcommoyamoya disease 両側内頸動脈終末部の閉塞 病態することによって起こる.もやもや病●❷●❸●❹潜在的な脳虚血監修五味 玲正常●❶Willis動脈輪酸素・糖が供給される.もやもや病(Willis動脈輪閉塞症)
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