●心不全(HF):heart failure ●急性心不全(AHF):acute heart failure ●慢性心不全:chronic heart failure ●収縮不全:contractile dysfunction/systolic failure ●拡張不全:diastolic failure ●左室駆出率(LVEF):left ventricular ejection fraction ●左室駆出率の低下した心不全(HFrEF):heart failure with reduced ejection fraction ●左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF):heart failure with preserved ejection fraction An Illustrated Reference Guide●心不全とは,何らかの心機能異常によって心ポンプ機能の代償機構の破綻をきたし,それによる症状や運動耐容能の低下が生じる臨床症候群で,全身の各臓器の酸素需要に対して心臓が十分な血液を供給できない(送り出せない)状態である.●よく用いられる分類として急性(非代償性)心不全,慢性心不全があるが,これらは別の病態ではなく,1つの連続した臨床経過における分類であるという概念が浸透しつつある〔p.111〕.●近年は病態や治療の観点から左室収縮能(左室駆出率〔LVEF〕)による分類(HヘフレフFrEF,HへフペフFpEFなど)〔p.121〕が重要視されてきている.●心不全は,心疾患の終末的な病態であり,ほとんど全ての●肺疾患(による肺高血圧症)や糖尿病,膠原病などによる心●心不全の多くは,心拍出量が減少してうっ血をきたすが(低拍出性心不全,うっ血性心不全),心拍大静脈大動脈動脈肺肺静脈●糖尿病などの代謝障害●膠原病●甲状腺機能亢進症*●貧血*●アルコール多飲●薬物(抗がん薬など)●敗血症*●慢性血栓塞栓性●慢性閉塞性肺疾患(COPD) ●心筋炎 〔p.257〕●先天性心疾患 〔p.274〕●心タンポナーデ 〔p.264〕●収縮性心膜炎 〔p.269〕●不整脈(心房細動〔AF〕〔p.160〕●高血圧 〔p.384〕●虚血性心疾患 〔p.126〕●弁膜症 〔p.210〕●心筋症 〔p.242〕心不全の原因として多くを占める*高拍出性心不全の原因となりうる.●慢性肺疾患により肺高血圧症〔p.276〕を生じて,右心不全をきたす場合を肺性心〔p.110〕とよぶ.110一般市民向けの心不全の定義として2017年に日本循環器学会と日本心不全学会が発表したもので,「心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり,生命を縮める病気です.」としている.心不全は病態であり「病気(疾患)」ではないが,心臓が悪いことを総合的に表現する言葉として用いられている.〔p.110〕肺疾患(肺実質や肺血管,肺ガス交換の障害)により生じた肺高血圧症から,二次的に右心不全を起こす病態.急性・亜急性・慢性に分類されるが,一般に肺性心は慢性肺性心のことを指し,COPD〔病④p.208〕が原因として多い.急性肺性心の原因としては急性肺血栓塞栓症〔p.370〕が多い. 様々な視点の分類でとらえる 心不全とは 心疾患だけではない 原因疾患HFrEFHFpEFHFmrEF医師心不全体循環体うっ血臨床像による分類〔p.112〕出量が増加する心不全(高拍出性心不全〔p.115〕)もある.「心不全」は病態(症候)であり,疾患名ではありません.原因疾患心拍出量⬇右房右室左房左室右心不全左心不全心疾患など) 肺循環臨床経過による分類〔p.111〕主な病態による分類 〔p.115〕肺うっ血左室収縮能による分類〔p.121〕心疾患が心不全に陥る可能性をもつ.筋障害も原因となる.肺疾患・肺循環疾患●特発性肺動脈性肺高血圧症 〔病④p.261〕肺高血圧症 〔病④p.278〕心不全〔病④p.208〕急性心不全慢性心不全収縮不全拡張不全その他監修肥後 太基心不全の定義(一般向け)肺性心 心臓突然死 〔p.111〕突然死のうち,予期しない心臓疾患の発症により,発症から24時間以内に死亡してしまうこと.原因は虚血性心疾患〔p.126〕が半分以上を占め,次いで心筋疾患〔p.242〕や不整脈〔p.160〕が多い.マーカー(バイオマーカー) 〔p.119〕体液や組織などに存在し,定量的な計測で生体の状態を把握できる物質のこと.特定の疾患の存在や重症度を反映する指標となる.全身血管抵抗(SVR) 〔p.114〕血流が末梢血管に流れ込む際に受ける抵抗のこと.血管の収縮や拡張,心拍数,血管壁の弾性などに影響を受ける.全末梢血管抵抗(TPR)ともよばれる.心不全心不全総論
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