病6-2版_立ち読み
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●寄生虫:parasite ●寄生:parasitism ●宿主:host ●中間宿主:intermediate host ●待機宿主(延長中間宿主):paratenic host ●終宿主:fi nal host ●保虫宿主:reservoir host ●原虫:protozoa ●蠕虫:helminth ●衛生動物:medical animal ●固有宿主:defi nitive host ●自家感染:autoinfection●宿主は,寄生虫の生活環との関わりによって中間宿主,●寄生を営む生物(寄生体)は動植物に広くみられるが,●寄生虫には宿主の外部に寄生するもの(外部寄生虫)と内部に寄生するもの(内部寄生虫)がある.本章では内部寄生虫を扱う.●寄生体には細菌,真菌,ウイルスなども含まれる.●宿主の環境や養分に依存して生活●有性生殖が行われる宿主,または成虫が寄生し次世代をつくる宿主.●寄生虫の生活環で必要不可欠なものではない.待機宿主内で長期間寄生可能だが,発育はほとんどしない.●無性生殖が行われる宿主,または幼虫がその体内で発育する宿主.*中間宿主や待機宿主を必要としない寄生虫もいる.●中間宿主を2つ必要とする寄生虫も存在し,幼虫が寄生する順に●ヒト以外で終宿主となる動物を保虫宿主とよぶ.保虫宿主はヒト●真核生物の中で最も原始的な単細胞生物.●1つの細胞で構成されるが,個体として必●多数の細胞で構成される.●狭義の寄生虫.354寄生虫性疾患待機宿主(延長中間宿主) 〔p.354〕その寄生虫の生活環上必要不可欠なものではないが,長期間寄生可能な宿主のこと.終宿主への感染源としての役割を果たす.自家感染 固有宿主 角化型疥癬(ノルウェー疥癬) サルマラリアAn Illustrated Reference Guide高齢者や免疫不全者で問題となりやすい重症型の疥癬を角化型疥癬(ノルウェー疥癬)という.寄生部位で非常に厚い灰白〜黄色の角質層を形成し,100万以上の疥癬虫が寄生している.この場合,患者の個室隔離が重要となる.以前から知られている4種のマラリア原虫以外に,近年,サルマラリアの1種(■プラスモジウム■■■■■■■■■■■ノウザイ■■■■■■■)のヒトへの感染例が東南アジアで多発し,第5のヒトマラリアと考えられるようになった.発熱周期は24時間で,死亡例も確認されている.〔p.367〕蠕虫は終宿主内で成虫となり,有性生殖を行う.その結果生まれる虫卵や幼虫は基本的に終宿主から出ていくが,そのまま宿主内に残り体内で増殖・成長するものもいる.これを自家感染といい,大量増殖や組織への移行が問題となる.〔p.366〕寄生虫が分裂・増殖できるか,あるいは幼虫が寄生し成虫まで発育して次の世代を産生することができる宿主を固有宿主という.** 宿主の環境や養分に依存して生活 寄生とは●寄生とは,ある生物(寄生体)が他の生物(宿しゅくしゅ主)の体内あるいは体表に生息し,その環境や養分に依存して生活する現象をいう. 中間宿主,待機宿主,終宿主など 宿主の種類 原虫と蠕虫 寄生虫の分類●寄生虫(広義)は,単細胞生物の原虫〔p.356〕と多細胞生物の蠕ぜんちゅう虫(狭義の寄生虫)〔p.366〕に分類される.寄生体が動物の場合,寄生虫とよぶ.:寄生(経口感染,経皮感染などによる)寄生虫第1中間宿主,第2中間宿主という〔p.366〕.への感染源ともなるため注意する必要がある.寄生虫(広義)寄生体待機宿主,終宿主などに分けられる.待機宿主原 虫蠕 虫小林 富美惠かいせんちゅう監修中間宿主要な機能を備えている.寄 生宿 主終宿主寄生虫学の分野では,これらの原虫,蠕虫だけでなく,ヒトの体表に寄生したり(疥癬虫〔p.355〕など),伝染病を媒介したり(蚊,ハエ,ネズミなど),有毒物質をもちヒトに害を与えたり(ハチ,クラゲなど)する虫や動物を衛生動物類として取り扱うこともあります.医師寄生虫
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