病6-2版_立ち読み
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➡アトピー性皮膚炎を考える.治療⒈保湿薬を用いたスキンケア⒉湿疹の病変には,ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏⒊瘙痒に対しては,抗ヒスタミン薬の内服(ステロイド内服は一般的ではない)●乾皮症:xerosis ●白色皮膚描記症:white dermographism ●湿疹:eczema ●Th2ケモカイン(TARC):thymus and activation-regulated chemokine ●苔癬:lichen ●セラミド:ceramide ●気管支喘息:bronchial asthma ●アレルギー性鼻炎:allergic rhinitis●症状は年齢とともに変化するが,一貫して病変部は乾燥傾向であることが●重要な合併症として白内障や網膜剝離などの眼症状,伝染性膿痂疹〔p.197〕,Kカポジaposi水痘様発疹症〔p.294〕などがある.●顔面●頸部●四肢●長期治療による●頸部●四肢●皮膚症状は軽くなり,乳児期のような重症例は少ない.●季節やストレスなど様々な要因により,病勢が変化する例も多い.●顔面(特に頬部)●四肢屈曲部●皮膚の露出部に乾燥,次いで潮紅,瘙痒を伴う丘疹を生じる.●多くは自然に軽快,治癒する.好発部位後後後概要皮 疹52〔p.52〕皮脂および汗の分泌が減退し,皮膚が乾燥してざらざらになった状態.皮膚は粃ひこう糠様の落屑・亀裂をきたし,瘙痒を伴うこともある.加齢によるものの他,アトピー性皮膚炎,皮脂欠乏性湿疹,貨幣状湿疹などにみられる.〔p.52〕ケモカインの一種.TARCは病変部皮膚にTh2細胞を引き寄せ,Th2細胞の放出するIL-4,IL-5,IL-13などにより,IgEの過剰産生や好酸球浸潤が生じ,皮膚に炎症が惹起される.アトピー性皮膚炎の重症度を示す指標として有用である.〔p.52〕慢性の経過で皮膚が肥厚し,硬くなり,皮野の形成が著明な状態.慢性湿疹やVヴィダールidal苔癬,アトピー性皮膚炎などにみられる.〔p.53〕角質細胞間脂質の主成分.角層の水分保持機能や皮膚のバリア機能に重要な役割を果たす.L20.8L20.9アトピー性皮膚炎は,IgE産生能の亢進や皮膚のバリア機能低下などの遺伝的素因に加え,アレルギー反応・環境要因・ドライスキンなどが複雑に絡み合い発症する慢性炎症性皮膚疾患である.症状は年齢とともに変化するが,一貫して強い瘙痒を伴う.他のアレルギー疾患(気管支喘息やアレルギー性鼻炎)を合併することが多い.多く,左右対称で強い瘙痒を伴う.乳児期Th2ケモカイン(TARC) ドライスキン(乾皮症) 湿疹(皮膚炎) 〔p.52〕瘙痒を伴い,組織学的には海綿状態(表皮細胞間浮腫)を呈する疾患の総称.臨床像は,丘疹や小水疱などの点状状態から始まり,それが痂皮や鱗屑などに移行しつつ,様々に混在するため,多様な様相を示す.白色皮膚描記症 〔p.52〕爪やペン軸など先端が鈍な棒で皮膚表面をこすった際,正常ではその部位に一致して赤くなるが,蒼白になる現象.アトピー性皮膚炎で高率にみられるが,特異的ではないことに注意が必要である.苔癬化 セラミド An Illustrated Reference Guideatopic dermatitis 年齢とともに変化する 皮膚症状写真提供:内 博史●顔面(特に頬部や前額部)に紅写真提供:内 博史●肘窩に掻破痕を伴う苔癬化局面監 修安部 正敏写真提供:内 博史●顔面の紅斑や頸部から上胸部にかけてのさざ波様色素沈着がみられる.時期斑や痂皮びらんがみられる.幼児期〜学童期屈曲部がみられる.思春期〜成人期屈曲部二次的変化や,性ホルモンの影響により,多彩な皮疹を呈する.intro.MINIMUM ESSENCE❶好発:アトピー素因をもつ乳幼児❷冬から春にかけて症状の悪化,❸皮膚の乾燥,紅斑,鱗屑,痂皮,肘窩・膝窩の湿疹や苔癬化,白色皮膚描記症,❹瘙痒の自覚,❺慢性,反復性の経過❻高IgE血症,好酸球↑,血清TARC↑を示す.アトピー性皮膚炎

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