弾だんぱつし発指(ばね指) ●透析時の除水量が多いことで生じる.●透析間の体重増加が多いと除水量も増加することになるため,低血圧のリスクとなる.●ドライウェイト〔p.231〕を適切に設定し,透析間の体重増加を少なくすることで予防する.●小分子量物質の急激な除去により血漿の浸透圧が低下し,脳浮腫〔病⑦p.184〕の症状が現れる.●初回の透析時や急速に透析を行った際に起こりやすい.●緩徐な透析や浸透圧物質(濃グリセリンなど)の投与により予防する.●他に,血中の電解質の急激な変化による不整脈,全身倦怠感,筋けいれんなどを生じることがある.●:小分子量物質●:中分子量物質●:低分子量蛋白質●HDとHFを組み合わせた方法で,あらゆる大きさの物質除去に優れている.●細孔の小さな半透膜を用いて限外濾過を行う.●細孔のサイズが大きい半透膜を用いて,大量に限外濾過を行い,補充液を追加する.●細孔のサイズが小さい半透膜を用いて,拡散と限外濾過を行う.●水分とナトリウム●過剰な体液除去のみを行う場合に用いる.●循環動態の変動が少なく,血圧を安定させることができる.●小〜中分子量物質●低分子量蛋白質●水分●あらゆる物質の除去効率がよい.●HDFの中でも,近年はオンラインHDFが普及してきている.●中分子量物質●低分子量蛋白質●水分●血圧低下など循環動態が不安定であるため血液透析が行えない患者に適応となるが,補充液にかかるコストが高い.●小分子量物質●水分●小分子量物質の除去効率がよいが,その分,血圧低下や透析不均衡症候群などの合併症を生じやすい.除去される主な物質その他●透析不均衡症候群/不均衡症候群:dialysis disequilibrium syndrome ●低血圧〔症〕:hypotension/hypotonia ●血液透析(HD):hemodialysis ●血液濾過(HF):hemofiltration ●血液濾過透析(HDF):hemodiafiltration ●体外限外濾過法(ECUM):extracorporenal ultrafiltration method ●急性腎障害(AKI):acute kidney injury ●持続的血液濾過(CHF):continuous hemofiltration ●持続的血液濾過透析(CHDF):continuous hemodiafiltration●体液の組成が急激に変化するため,透析中や透析直後に●これらの治療は間欠的に行われるが,循環動態が不安定な症例(急性腎障害〔AKI〕や重症心不全など)に対しては急性血液浄化〔p.237〕として持続的血液濾過(CHF)や持続的血液濾過透析(CHDF)〔p.232W〕などが行われる.(ECUM)(HDF)⬇ 原理オンラインHDF 持続的血液濾過(CHF),持続的血液濾過透析(CHDF) ガドリニウム(Gd)造影剤 〔p.234〕造影MRI〔p.35〕で用いられる造影剤.Gdの常じょうじせい磁性を利用している.ヨード造影剤と比較して腎毒性は低いとされるが,腎機能低下時に使用すると腎性全身性線維症(NSF)をきたす可能性があることから,原則として,透析患者,GFR〔p.27〕が30mL/分/1.73m2未満の症例,急性腎障害(AKI)〔p.208〕では使用を避ける.破壊性脊椎関節症 脳組織拡散限外濾過げんがいろか限外濾過補充液拡散限外濾過限外濾過232〔p.232〕透析液を清浄化し,補充液として使用するHDF.従来のHDFより大量の濾過が可能で透析効率が高く,別途に大量の補充液を必要としないためコストも抑えられる.ただし,透析液の厳重な清浄化が必要なため,特別な設備が必要となる.〔p.232〕血液濾過,血液濾過透析を1日中連続的に行う方法.主に急性血液浄化が必要な患者に対してICUなどで行う.長時間かけて緩徐に血液浄化を行えるため,循環動態に与える影響が少ない.〔p.235〕指を曲げるための腱にアミロイド蛋白の沈着が起こり,指の屈伸がなめらかに行えなくなった状態.〔p.235〕椎間板にアミロイド蛋白の沈着が起こり,炎症を引き起こすもの.頸椎や腰椎に好発する. 体液の組成が変化して起こる 血液透析の合併症 血液透析に類する 様々な血液浄化療法●血液透析と同様の回路(体外循環式)を用いて,腎不全に対して行われる血液浄化療法は次のようであり,それぞれ原理や使用する半透膜が異なる.合併症が生じやすい.脳浮腫除水量が多い血液濾過透析透析不均衡症候群(不均衡症候群)血管浸透圧⬇⬇水分が組織へ移動血液透析(HD)血液濾過(HF)血液透析液低血圧急激な体液量の減少体外式限外濾過
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