病みえ8-4立ち読み
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010●健常者と同等の社会復帰や出産も可能となり,QOLが改善される.●待機することなく治療が受けられる.●詳細はp.228.●待機期間が長く,すぐに治療を行えないことも多い.●移植腎の機能が低下した場合,再移植または透析が必要となる.生存率・生着率●腎移植は根治的治療であるため,透析と比較して生存率が高い(ただし,レシピエント〔移植を受ける患者〕は透析患者よりも若年者であることが多く,他にも患者背景が非常に異なるため,単純に比較することは難しい).●献腎移植では,生体腎移植より約5〜10%程度成績が下がる.5年数●透析導入患者は増加しているが,腎移植が施行された件数は極めて少ない.●献腎移植希望登録者に対し移植の施行率は,約0.9%(2021年)である.●2009年の臓器移植法改正以降,生体腎移植は増加,献腎移植件数は横ばいである.件数*参考:日本移植学会:臓器移植ファクトブック2022. https://www.asas.or.jp/jst/pdf/factbook/factbook2022.pdf(2024年5月閲覧)**参考:日本透析医学会統計調査委員会:わが国の慢性透析療法の現況(2021年12月31日現在).     https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2021/pdf/01.pdf(2024年5月閲覧)●腎移植:renal transplantation ●末期腎不全(ESKD/ESRD):end-stage kidney disease/end-stage renal disease ●腎代替療法(RRT):renal replacement therapy ●透析〔療法〕:dialysis ●ドナー/提供者:donor ●生活の質(QOL):quality of life ●生存率:survival rate ●生着率:renal graft survival rate ●レシピエント/〔臓器〕受容者:recipient ●移植腎:renal graft●末期腎不全(ESKD)〔p.218〕に対して行われる腎代替療法には,透析療法〔p.228〕●腎移植は根治的治療であり,腎機能を回復することができる.●腎移植は透析療法に比べて様々な利点があるが,日本では提供者(ドナー)●小児の腎不全でも透析療法は行われるが,成長障害,通園・通学制限,精神発達遅滞などのデメリットが多い.また,小児では成人に比べて移植腎の生着率が高いため,透析療法よりも腎移植を積極的に施行することが望ましい.1008060402040,00030,00020,00010,00020152021生着率 阻血時間 日本移植学会倫理指針 先行的腎移植抗体除去療法 〔p.241〕疾患の原因となる抗体を除去する治療法.腎移植やGギランuillain-Bバレーarré症候群〔病⑦p.302〕,重症筋無力症〔病⑦p.390〕などで行われる.血漿交換療法〔p.236〕や血漿吸着法〔p.237〕などが用いられる.約90%10(年)200120052010食事制限などがあり,QOLは低い.:生存率(生体腎)*:生着率(生体腎)*:生存率(透析)**生体腎:1,648件,献腎:125件40,511件13,738件透析療法●ある程度の時間の拘束や:腎移植* :献腎移植希望登録*:透析導入**約40%(年)監修田■ 一成238腎代替療法ESKDに陥った際に,維持透析療法を行わずに腎移植を行うこと.長期の透析を経た場合よりも生着率が向上する.現在,日本では生体腎移植の一部で行われている.〔p.238〕腎移植を行った症例に対して,移植後一定期間を経た時点で機能している移植腎の割合.腎移植の成績を表すために用いられる.〔p.239〕臓器の血流が途絶してから血流が再開するまでの時間.温阻血時間(血流が途絶してから保存液による灌流が行われるまでの時間)と冷阻血時間(保存液による灌流が行われてから血流が再開するまでの時間)があり,温阻血時間と冷阻血時間を合計したものを総阻血時間という.総阻血時間は,脳死ドナーで60時間,心停止ドナーで48時間が限界とされている.〔p.240〕移植医療は,臓器,組織,細胞のドナーを必要とする特殊性があるため,日本移植学会により倫理指針が定められている.生体腎移植のドナー選定に関しては,原則的に親族に限定され,未成年者ならびに精神障害者は対象としないこと,提供は自発的意思で行われること,利益供与がないことなどが含まれる. 腎代替療法 腎移植と透析と腎移植がある.不足のため,透析療法を選択せざるをえないESKD患者がほとんどである.●国民医療費の観点から腎移植と透析療法を比較すると,腎移植は手術代などの医療費は高額だが退院後の医療費は低額なため,術後2〜3年で積算医療費は透析療法よりも安くなる.ただし,健康保険により患者負担額に差はない.移植腎移植と透析療法 の比較待機期間備考腎移植の生存率・生着率と透析の生存率(1983〜2000年平均)腎移植患者数,透析導入患者数,献腎移植希望登録者数の推移QOL10年生存率(%)(件)腎移植

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