●阻血時間が長いため,組織障害の進行による移植腎の尿細管壊死が起こることがあり,移植後一時的に透析が必要になることがある(2週間前後).●生体腎移植に比べて長期の生着率が低腎移植*16歳以上で移植できた患者の平均.16歳未満の場合は2.5年(2020年).●生体腎移植:living kidney transplantation ●献腎移植:cadaveric renal transplantation/deceased donor renal transplantation ●脳死:brain death ●心停止:cardiac arrest ●尿細管壊死:tubular necrosis ●腎移植:renal transplantation ●組織適合性 〔検査〕:histocompatibility 〔test〕 ●移植コーディネーター:transplant coordinator●ドナーの提供意思決定後,組織適合性検査などを経てドナー・レシピエントともに入院し,手術を行う.●ドナーは腎提供後,腎臓が1つとなり慢性腎臓病の初期となるが,進行性に腎機能低下が生じることは少ない.ただし,定期的な腎機能検査が推奨される.●レシピエントは待機期間中,定期的に移植施設を受診し,健康状況の把握や連絡先の確認などを行う.●ドナー発生後,適正な移植医療のために,移●かつては親子間の移植が最も多かったが,免疫抑制療法などの進歩により,近年は夫婦間移植が最多となっている.腎臓は1個でも充分に機能する親族の健康なドナーから腎臓を移植する●阻血時間〔p.238W〕が短いため,術後速やかに利尿できるようになる.●生着率が高く,良好な腎機能が期待できる.移植のながれドナー提供の意思決定腎採取術239血液型一致移植 〔p.240〕ABO血液型が同一のドナーとレシピエントで移植を行うこと. 腎移植において,必須ではないが最も望ましい.血液型不一致移植血液型不適合移植 異所性移植 〔p.241〕レシピエントの臓器は残したまま,ドナーからの臓器を本来とは別の場所に移植すること.一般的に,腎臓や膵臓の移植で行われる.再発性腎炎 〔p.241〕原疾患の再燃によって繰り返される腎炎のこと.移植腎生着率低下の主要原因の一つである.レシピエントが腎不全をきたした原因疾患の精査と管理だけでなく,ドナーから提供された腎臓の状態を確認するベースライン生検や,症状がなくとも定期的に腎臓の状態を確認するプロトコール生検を行うことで,移植後再発性腎炎の管理と評価を行う.ドナーとレシピエントのABO血液型が同一ではないが,強い拒絶反応が起こらないABO血液型の組み合わせで移植を行うこと.腎移植において,血液型一致移植と移植方法や予後はほとんど変わらない.そのため,両者をあわせて血液型適合移植ともいう.〔p.240〕ABO血液型が同一でないドナーとレシピエントにおいて,強い拒絶反応が起こるABO血液型の組み合わせで移植を行うこと.腎移植において抗CD20抗体(リツキシマブ)投与と抗体除去療法〔p.238W〕を行うことにより,血液型適合移植と変わらない治療成績となる.そのため,近年その移植件数が増加しており,腎移植全体の約25%を占めている.生体腎移植のみで行われ,献腎移植では行わない. 日本では生体腎移植が多い 生体腎移植と献腎移植●腎移植は,ドナーの種類により,生体腎移植と献腎移植に分けられる.●日本では欧米諸国に比べて献腎移植が少ない.その理由として,臓器提供意思表示カードの普及率が低いことや,一般社会で献腎への認識が低いことなどがある.生体腎移植生体腎移植レシピエント検査入院(術前に十分な準備が可能)腎移植術退院阻血時間短い退院レシピエント(ESKD患者)い.ドナー待機期間長い(平均17.3年*)ドナー発生(脳死または心停止)腎採取術阻血時間長い植コーディネーターが連絡・調整を行う.日本における腎移植の割合献腎移植(約7%)生体腎移植(約93%)献腎移植脳死〔病⑦p.552〕または心停止のドナーから腎臓を移植する献腎移植レシピエント検査レシピエント登録連絡レシピエント選定緊急入院腎移植術退院
元のページ ../index.html#19