BPH●前立腺腫大による閉塞●症状の出現には両方の機序が関与しており,機能的閉塞と機械的閉塞が併発する●平滑筋収縮による閉塞副交感神経副交くぷTぎゅっT0)α1受容体5α還元酵素●テストステロン(T)は前立腺細胞内に取りこまれると,前立腺細胞に存在する5α還元酵素によりジヒドロテストステロン(DHT)に変換され,細胞の増殖を促進する.*●5α還元酵素阻害薬〔p.316〕●α1受容体の機能が亢進すると,交感神経刺激により前立腺内の平滑筋が過剰に収縮し,尿道の閉塞が生じる.●PDE5が活性化すると,NO-cGMP系〔p.314W〕により産生されるcGMPを分解し,cGMPによる平滑筋の弛緩を抑制する.●PDE5阻害薬〔p.316〕ふんっ前立腺肥大症(●尿閉が続くことで,腎機能が低下する. いつりゅう●溢流性尿失禁〔p.318〕が認められる.●残尿の増加により,膀胱炎〔p.257〕などの尿路感染症が起こりやすくなる.●飲酒や感冒薬服用で急性尿閉〔p.47〕●頻尿,尿意切迫感,下腹部の不快感・圧迫感,軽度の排尿困難を呈する.ぷく●ジヒドロテストステロン(DHT):dihydrotestosterone ●国際前立腺症状スコア(IPSS):International Prostate Symptom Score ●生活の質(QOL):quality of life ●経尿道的切除術(TUR):transurethral resection ●グアニン5’-三リン酸(GTP):guanine5’-triphosphate●BPHにおいて下部尿路閉塞が起こる機序には,前立腺内の平滑筋や膀胱頸部の平滑筋が過剰に緊張・収縮することで生じる機能的閉塞と,前立腺移行領域が腫大することで生じる物理的な機械的閉塞がある.●BPHでは病期の進行に伴って様々な症状が現れる.●症状は排尿機能障害の程度により第1~3期に分けられる.●手術療法(TURP〔p.317〕など)*細胞増殖には,加齢に伴うテストステロンからエストラジオールへの変換促進も関わっていると考えられている.●α1受容体拮抗薬〔p.316〕●BPHの症状の客観的かつ定量的な評価法として,国際前立腺症状スコア(IPSS)とQOLスコア(IPSS-QOL)〔p.314W〕がある.第3期(慢性尿閉期)第2期(残尿発生期)第1期(膀胱刺激期) NO-cGMP系cGMPPDE5PDE5精巣分解弛緩できない出しきれない頻尿・排尿困難などの症状の悪化残尿の発生315 機能的閉塞と機械的閉塞 病態 頻尿で始まり,やがて尿閉へ 臨床像ことでさらに尿道が狭窄する.機能的閉塞膀胱前立腺収縮頻尿が起こる.定義交感神経ノルアドレナリン機序治療トイレ トイレ(特に夜間頻尿)症状尿道・膀胱への刺激・圧迫残尿量(mL)最大尿流率(Qmax)機械的閉塞肥大出ない水腎症〔p.249〕,水尿管症慢性的な尿閉〔p.47〕cGMPDHTDHTDHTDHTDHT150以上
元のページ ../index.html#25