●急性冠症候群(ACS):acute coronary syndrome ●血圧(BP):blood pressure ●体温(BT):body temperature ●クレアチンキナーゼMB分画●胸痛ではバイタルサインに異常を認めない場合でも「確実に診断/除外すべき」疾患から鑑別を行う.●急性心筋炎,急性心膜炎の診断は難しく,救急外来で診断をつけることは困難である.●アレルギー反応に伴う冠攣縮によって惹起される急性冠症候群をKコーニスounis症候群という.頻度はまれとされるが,一般に認知されていないためだと思われる(筆者の施設では3〜4例/年経験する). ➡ アナフィラキシーを含むアレルギー反応では急性冠症候群を合併する可能性があること,急性冠症候群●12誘導心電図,心エコー,(採血)●ポータブル胸部X線(自然気胸も同時に診断可能)●急性心筋炎●12誘導心電図,心エコー,胸部造影CT●急性心膜炎(CK-MB):creatine kinase MB ●心拍数(HR):heart rate ●呼吸回数(RR):respiration rateintro.Tips見落とし症例から学ぶ!見落とし症例から学ぶ!522522症候解説 p.42ではアレルギー反応が原因となっている可能性があることを知っておく.胸痛では初期評価を行いながら(緊張性気胸は身体所見から診断/除外する),12誘導心電図,心エコーを行い,「確実に診断/除外すべき」疾患の中でもまず初めに急性冠症候群を診断/除外する.そのうえで検査前確率を考慮しながら,必要であればCTを施行して急性大動脈解離,肺血栓塞栓症,特発性食道破裂の診断/除外を行う.搬送前に想起!初療時に想起し,診断/除外すべき疾患●急性冠症候群(ACS)●緊張性気胸●急性大動脈解離,肺血栓塞栓症●胸部造影CT●胸部単純CT●特発性食道破裂●12誘導心電図,心エコー(確定診断には心筋生確実に診断/除外すべき頻度は低いが, 見落としたくない糖尿病の既往がある50代女性が胸痛を主訴に救急搬送された.来院時,胸痛は消失しておりバイタルサイン安定,12誘導心電図,採血,エコーでは急性心筋梗塞を示唆する所見は得られなかった.胸部CTでも大動脈解離や肺塞栓を疑わせる所見はなく,初療を行った初期研修医が帰宅させてよいか相談に来た.病歴を確認すると,「3日前も同様の『心臓をつかまれる感じの』胸痛」があった,とのことで2時間後に12誘導心電図,採血を再検したところ,わずかなST変化とCK-MB,トロポニンの上昇を認め緊急カテーテルとなった.来院時に胸痛が消失し,検査所見が陰性だったとしてもACSの除外は慎重に行う必要がある.冠血管リスクを有する患者の場合,すぐに帰さずに検査を再度行うことも重要である.認知症のある高齢男性が胸痛を主訴に救急搬送された.上記検査を一通り行ったが明らかな原因は指摘できなかった.原因不明だが緊急性なしと判断し,帰宅させようとしたが,たまたま口腔内を見た家族が「入れ歯がない」と言い出した.CT画像を見返すと,喉頭付近に義歯が引っかかっていた.喉頭鏡を用いて義歯を摘出したところ,本人の胸痛(喉の違和感であったが,前胸部をさすっていた)は消失した.病歴聴取を丁寧に行い,CT画像も全ての画像を1スライスずつ細かくみることが重要である.検が必要)検査胸痛
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