診でき2
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●持続時間はどれくらいか●以前にも同様の痛みがあったかT:時間経過〔p.27〕●意識障害,頻脈,発熱,低血圧,顔色不良,●前かがみで慎重に歩く●患者の年齢や性別から得られる情報腹痛●膝を引き寄せてじっとしている,●ベッド上でのたうち回る(七転八倒)●臥位よりも前傾座位や胸膝位を好む❶❸.●腹痛の診断には,部位による解剖学的アプローチが有効であるため,詳細な問診を行う前に適宜腹部所見を確認する.●緊急性の高い病態が疑われた場合には,早期に末梢静脈路を確保し,循環動態の安定化に努める.また痛みの程度が●「破れる・裂ける・詰まる・捻れる」疾患を考える.●特に心血管疾患(腹部大動脈瘤破裂,大動脈解離,急性冠症候群,肺血栓塞栓症),腸間膜動脈閉塞症,腎・脾梗塞)を見逃さない.●腹部疾患の鑑別に重要である.●規則的な波があれば,管腔臓器の痛み(疝痛〔p.21〕)を考える.●痛みがゼロまで軽快する場合には腸疾患を,半分程度の場●心血管疾患,尿管結石,卵巣腫瘍茎捻転,汎発性腹膜炎R:部位・放散痛〔p.23〕●どこが痛いか,別の場所も痛むか●最も重要な質問の1つである.痛みの部位を指し示してもS:随伴症状〔p.25〕●悪心・嘔吐,便秘・下痢など●これらがある場合には,吐物・便の性状や頻度を詳しく聞く.●長時間続く腹痛は,重篤な腹部疾患を示唆する.●以前と同じ「繰り返す疾患」〔p.27〕を考える.●突然発症か(何をしていたときか,●食事や姿勢により症状は変わるか●嘔吐や排便で症状は楽になるか●痛みに規則的な波はあるか●(波がある場合)症状軽快時にはゼロになるのか,半分程度は残るのか●激痛かO:発症様式〔p.19〕Q:症状の性質,程度P:増悪・寛解因子〔p.20〕29 入室時とベッド上姿勢の観察 診察開始時の確認事項●入室時から,緊急性の高い病態,特に心血管疾患や腹膜炎を念頭に行動することが望ましい.診察前に,特に留意すべき事項を示す. 突然発症か,痛みの部位,放散痛,過去の同症状に注意 腹痛についての問診事項●腹痛の病歴について特に重要な問診事項を次に示す.なお,詳細は各頁を参●❶観察とバイタル●❷声かけ●❸ベッド上の体位〔p20〕何時何分だったか)〔p.21〕患者●❷医師強い場合には,鎮痛薬の投与を検討する.照のこと.問診事項以前にも同様の痛みがあったかを聞くことは,問診においてとても重要です.もし同じような腹痛を経験しているならば,そのときの診断を聞きましょう.今回も同じ疾患である可能性が高いです.医師座ってお話できそうですか?冷汗➡心血管疾患,敗血症,出血など重症疾患の可能性➡腹膜炎をきたしている可能性■高齢➡心血管疾患,悪性腫瘍を含む様々な疾患■若年女性➡妊娠,骨盤内炎症性疾患,卵巣出血,卵巣腫瘍茎捻転,急性虫垂炎■若年男性➡急性陰囊症,炎症性腸疾患,急性虫垂炎●問診開始前に着席が可能か尋ね,難しい場合にはベッド上で診察を行うなどの配慮をする.●着席前に踵落とし衝撃試験〔診①p.197〕を行ってもらうと,早めに腹膜刺激徴候を評価できる.体位変換を嫌がる➡汎発性腹膜炎など➡尿管結石,腸管虚血の初期,卵巣腫瘍茎捻転など➡急性膵炎など後腹膜臓器の疾患 :産婦人科疾患  :心血管疾患 :腹部疾患関連する疾患・病態など合には尿管結石を考える〔p.22〕.らうとよい.お腹に痛みが響く腹痛の診察

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